今回はDifyの基本を、はじめての方にもわかる言葉で解説します。社内規程やPDFを横断して答えを返すRAG検索、よくある質問に即答するFAQボット、Slackやスプレッドシートとつながるワークフローまでお伝えします。
探す・まとめる・届けるを短時間で形にするコア機能と導入手順を、具体例つきで紹介します。
目次
目次
1|Difyで何がラクになる?
2|Difyはどんなツール?(30秒で)
3|まず作るべきアプリと効果
4|5分で体験:社内規程の検索ボット
5|具体例:使えるユースケース4選
6|導入パターンと費用感(ざっくり)
7|失敗しない運用の型(チェックリスト)
8|よくある質問
9|用語ミニ解説(初心者向け)
10|まとめ
1|Difyで何がラクになる?
- 探す時間が激減:PDF・Word・Webページをまとめて検索→要点と根拠を表示
- 一次対応を自動化:よくある質問(FAQ)はボットが回答、難しいものだけ人へ回す
- 記録が残る:質問内容・回答の履歴を見て、資料の抜けや改善点がわかる
- 外部ツールとつながる:Slack通知やスプレッドシート更新、CRM登録まで自動化できる
まずは「検索(聞かれたらすぐ出す)」→効果が見えたら「連携(Slack/Sheets/CRM)」へ。
2|Difyはどんなツール?(30秒で)
- つくれるもの:Q&Aボット/チャットボット/ワークフロー/エージェント
- ナレッジ(知識ベース):PDF・URL・テキストを登録して検索対象にする
- 公開方法:共有リンク、社内ポータルへの埋め込み、API
- 使い方のイメージ:
- 資料を入れる → 2) アプリを選ぶ → 3) 返答の型を決める → 4) 配布(リンク・埋め込み)
3|まず作るべきアプリと効果
おすすめ第1歩:社内規程の検索ボット
- 対象:就業規則、経費精算、セキュリティ、各種手順書
- 効果:総務/情シスに来る「同じ質問」を自己解決。問い合わせ数を削減
- 測り方:
- 自己解決率(=人に聞かずに解決できた割合)
- よく検索されるキーワードTop10
- クリックされた根拠リンク(どの資料が役立ったか)
4|5分で体験:社内規程の検索ボット
Step1|資料を入れる(ナレッジ作成)
- PDF/URLを部署ごとに登録(例:総務/人事/情シス)
- 古い版はアーカイブして混ざらないようにする(例:規程_2025-10_revB.pdf)
Step2|Q&Aアプリを作る
- 返答の型(テンプレ)を決める:
- 結論(1行)
- 要点(3つまで)
- 参照(資料タイトル/URL/ページ番号)
Step3|検索の細かい設定(最初はこのままでOK)
- 参照件数(Top-K):4
- 文の分割サイズ(チャンク):800〜1,000字
- 重なり(オーバーラップ):120〜200字
→ 迷ったら上の数値で始め、後でログを見て調整。
Step4|公開
- 共有リンクを社内ポータルやSlackチャンネルに掲載
- 出典リンクが必ず開けることを確認(クリックテスト)
Step5|改善(週1回でOK)
- ログで「検索0件」「Bad評価」を抽出
- 足りない資料を追加/タイトルをわかりやすく変更
- 参照件数や分割サイズを微調整
5|具体例:使えるユースケース4選
5-1|社内規程・手順書の横断検索
- 困りごと:規程が多くて見つからない、古い情報を参照してしまう
- Difyの動き:質問に対し、該当箇所を探して要点と根拠リンクを返す
- 設定メモ:
- 参照件数:4、チャンク:900字、重なり:150字
- 回答テンプレ:結論→要点→参照の順
- KPI:自己解決率、検索Top10、クリックされた資料Top10
5-2|FAQボット(社内/顧客向け)
- 困りごと:営業時間、申請経路、型番などの質問が何度も来る
- Difyの動き:FAQをナレッジ化→信頼度が低い時は人に回す
- 具体設定:
- 信頼度しきい値:0.6〜0.7(低いときは「わからない→担当へ」)
- エスカレーションの定型文:
「該当資料を特定できませんでした。[問い合わせフォーム] または #helpdesk に内容を送ってください。」
- 効果:一次応答が即時化、担当者の負荷が平準化
5-3|議事録→要点抽出→タスク/CRM登録
- 困りごと:商談後の要約・タスク化・CRM反映に時間がかかる
- Difyの動き:要点とToDoを抽出し、GoogleスプレッドシートやHubSpotへ登録
- 簡単フロー:
- 文字起こしテキストを投入
- 要点(目的・決定事項・ToDo)を生成
- 「担当」「期限」「内容」を表に整形
- HTTPリクエストやGoogle Sheets連携で登録
- ワンポイント:担当名→IDの対応表はスプレッドシートの辞書で管理
5-4|見積・申請の下書き作成
- 困りごと:見積書の作成ルールが複雑でブレやすい
- Difyの動き:フォーム入力(顧客名/品目/数量)からドラフトを作成→人が最終確認
- チェック項目:税率・単価改定・プラン名・見積有効期限
- おすすめ運用:Slackにドラフト→承認ボタン→PDF化/社内ツール登録
6|導入パターンと費用感(ざっくり)
- クラウド版:アカウント作成ですぐ開始。料金は席数・機能・利用量で変動
- セルフホスト:無償で始められる構成あり。主なコストはサーバ費+運用工数
- モデル費:外部モデルを使う場合はトークン課金(長文PDFは分割して無駄を減らす)
迷ったらクラウドで試す→安定後に必要ならセルフホストが失敗しにくい流れです。
7|失敗しない運用の型(チェックリスト)
情報設計
- 最新版のみを運用(古い版は明確にアーカイブ)
- 部署別コレクションで整理(総務/人事/情シス)
- ファイル名ルール:規程_YYYY-MM_revX.pdf
回答品質
- 根拠リンクを必ず返す(非表示にしない)
- 信頼度しきい値を設定(低い時は「わからない」→担当へ)
- 禁止事項(推測/社外秘の開示)をテンプレで明記
接続・セキュリティ
- APIキーは最小権限で運用・定期ローテーション
- 機微情報は限定ワークスペースやセルフホストで分離
- 監査ログを保存(誰が何を検索したか)
改善運用
- 週次のログレビュー(検索0件、Bad評価)
- 追加が必要な資料・削除すべき旧版を棚卸し
- FAQ化してポータルに固定リンク
8|よくある質問
Q1. 既存の社内検索と何が違う?
A. 必要箇所だけを抽出して要点+根拠を返します。長いPDFでも該当部分を素早く提示できます。
Q2. コードは必要?
A. 基本はGUIで設定可能。Slack/Sheets/HubSpotなど外部連携はWebhook/HTTPで拡張できます。
Q3. セキュリティは大丈夫?
A. 部署ごとの分離、アクセス権限、監査ログで運用。機微情報はセルフホストや限定公開で管理します。
9|用語ミニ解説(初心者向け)
- RAG:資料を検索して、その内容を根拠に答える仕組み
- チャンク:長文を小さな塊に切ること(検索の精度が上がる)
- Top-K:いくつの候補(根拠)を参照するかの数
- しきい値:答えに自信があるかどうかの基準値
10|まとめ
- 最初は社内規程の検索ボットから始めるのが安全で効果的
- 成果が見えたら、FAQ→議事録ToDo→見積ドラフトへ段階拡張
- ポイントは、最新資料の管理・根拠リンク・週次の改善の3つ
社内ポータルに「検索ボットのリンク」「問い合わせフォーム」「改善要望フォーム」を並べると、運用が安定します。内部リンク(導入相談/資料請求)は目次直後・ユースケース後・末尾に配置してください。