ナレッジ2026.11.01
BDRコールだけでは、なぜ担当者につながらなくなったのか株式会社RECHANCEでは、自社サービスの新規開拓としてBDR(アウトバウンドコール)を行っています。事業とエリアで3つに分けて結果を比べたところ、地方は担当者に接触しやすく、アポイントも取りやすい一方、首都圏は担当者への接触が難しいものの、接触できれば有効な商談になりやすいという差が見えました。本記事では、その結果を共有します。
前提:事業とターゲット
BDRを行った期間に事業のピボットがあり、それに合わせてセグメントとターゲットも変えています。そのため、数値は次の3つに分けています。
- ①DX・受託開発 → 地方SMB
- ②AI×BPO → 地方・規模問わず
- ③AI×BPO → 首都圏・規模問わず
いずれも、売上3億円以上または従業員30名以上の企業にアプローチしました。
前提:コールメンバーとトークの方向性
結果は、1名のコールメンバーによるものです。インサイドセールスのコールを継続して任せているメンバーです。

フックやトークの方向性は、おおまかに次の要素で進めました。順不同です。
①DX・受託開発 → 地方SMB
- DXやシステム活用の状況、業務課題を確認する
- 業務の棚卸しから入る、既存ツールも活用する、現場目線でのDXと低コストの3点を押さえる
- 「AI」という言葉は控える
- 途中から、Budgetを中心にBANTを確認する
②AI×BPO → 地方・規模問わず
- AIを活用したBPOであることを伝える
- 県外への販路開拓や、営業スキルの属人化を防ぐことなど、ベネフィットに近い提示をする
③AI×BPO → 首都圏・規模問わず
- AIを活用し、それによるナレッジを一般化・内製化に落とし込むBPOであることを伝える
- 競合の事例や展示会の出展企業へのアプローチが多いため、取り組みと状況も軽くヒアリングする
- AIの具体的な活用や、BPOで使っている自社開発のツールは、商談のときにお見せする旨を伝える
結果:首都圏と地方で、担当者接触と有効商談に差
| ①DX・受託開発 → 地方SMB | ②AI×BPO → 地方 | ③AI×BPO → 首都圏 | |
|---|---|---|---|
| 架電数 | 120 | 251 | 208 |
| 担当者接触数・接触率 | 29・24% | 70・28% | 30・14% |
| 資料送付数・担当者接触からの率 | 7・24% | 12・17% | 5・17% |
| アポイント数・担当者接触からの率 | 6・21% | 7・10% | 3・10% |
| 架電からのアポイント獲得率 | 5.0% | 2.8% | 1.4% |
| 有効商談数・有効商談率 | 5・83% | 3・43% | 3・100% |
②と③で割合が一致する項目が多いですが、いずれも実数値です。有効商談は、挨拶のアポイントや情報交換、逆営業ではなく、先方が利用を検討する商談として数えています。②と③には、このほかに年明けに日程を調整する予定のアポイントが2件ずつありました。
地方は担当者接触率が高く、そのうえでアポイント獲得率も高い結果でした。首都圏は担当者への接触が難しいものの、接触できれば商談化は遜色なく、有効商談が多くなりました。BPOという、インサイドセールスの場面では差別化が難しい事業の中でも、アポイントにつながっていると感じています。
セグメントごとに見えたこと
フィールドセールス以降の観点も含めた、定性面の所感です。
①DX・受託開発 → 地方SMB
- 「DX」という言葉への関心は高い
- 情報システムの担当者がおらず、総務や代表が兼任している企業がちらほらある
- 「どこから取り組むべきか分からない」という悩みに対して、「業務の棚卸し」や「既存ツールを活用しながら」という点が返しやすい
- 「ノーコード」は分からない方が多い
- BANTでいうBudget、Timelineがないアポイントが多い。そもそも業務効率化に対して組んでいる予算がない
- 技術検証や予算化を踏まえると、1商談のクロージングが半年以上と長期化する。営業のファネルで見ると、見積もりや技術検証で滞留する
まとめ:アポイントは取りやすく、関心もあり、ポジショニングも取りやすい。ただ、お金をかけてまでやるかと言われると、意思決定が難しい。
②AI×BPO → 地方・規模問わず
- toBの事業者自体が少ない。北海道では飲食・観光・宿泊が盛んで、toCの事業者が多い
- toBも一次産業や卸売の構造、建設・土木の公共向けの割合が多く、首都圏で一般的な営業体系ではない
- THE MODELの体系を取っておらず、1人の営業のスコープが納品まで及ぶケースもある。「BPO」「インサイドセールス」「フィールドセールス」という言葉は伝わりにくい
- かといって「営業代行」と伝えると、「成果報酬で、販売代理として営業してくれるのではないか」という認識につながりやすかった。営業担当者に接触できる反面、逆営業も多く、有効商談率が下がる
- 有効商談として進んだのは、地方の上場企業や、大手企業の支社・支店。「AI」という言葉や、展示会後のオペレーションの課題をフックにアポイントを獲得した。本社や営業企画の施策を、現地の営業メンバーに落とし込むのが難しいという悩みが散見された
まとめ:興味関心や情報交換といったアポイントは取りやすい。ただ、有効商談になりうるターゲットに絞らなければ、提案には進まない。
③AI×BPO → 首都圏・規模問わず
- とにかく担当者に接触しづらい。IVRや受付代行も多く、担当者までが遠い。部門はもちろん、担当者のバイネームがないと接触が難しい
- 「AI」への関心はあるが、「実際にどう使うのか」「何を開発・構築しているのか」という問いが返ってくることが多い。活用内容を簡単にお伝えしつつ、実際の内容を「お見せする」という言い方でアポイントに至るケースが散見された
- BDRとはいえ、検討する前提のスタンスを取っていただける。有効商談率は高く、意思決定までのリードタイムは短い
まとめ:担当者のバイネームがないと、接触は難しい。ただし、接触したときの切り返しを含めてしっかり準備しておけば、商談としての有効性も高いアポイントが獲得できる。
まとめ
成果の部分だけの切り取りですが、エリアによる体制やリテラシー、スタンスの差は、ターゲットの設計や仮説の検討に役立つと考えています。地方はアポイントにつながりやすい一方で、有効商談になるターゲットに絞ることが、首都圏は担当者のバイネームと、接触したときの準備が、成果を分けました。